鉄コン筋クリート
日本映画(アニメーション)
監督:マイケル・アリアス
出演(声):二宮和也 蒼井優 伊勢谷友介 田中泯 工藤官九郎 本木雅弘
松本大洋原作のマンガをアメリカ人のクリエイターが監督して作られた「日本の」アニメーション映画。
原作も読んでなかったし、若干キモいキャラと、かなり奇抜そうな雰囲気に若干引っ掛かりつつも、「一応みておくか」程度の軽い気持ちで見に行ったけれど…、これが大傑作だった! 近年のアニメーションの中でも群を抜く完成度と中身の充実度で圧倒された。そして今年見た映画の中でもNo.1と言ってもいいぐらいでした。
舞台は恐らく日本で昭和の時代のようだけれど、独特の混沌とした町「宝町」で、親がおらず、暴力を頼りに独力で生き抜いている少年クロと、彼と行動を共にする無垢な少年シロの二人を中心にして、宝町を地上げ・再開発をもくろむヤクザたちやギャングや刑事が入り乱れて繰り広げられる、暴力と策謀と善と悪と愛の物語。
松本大洋の独特の絵をこれまた独特だったアニメ「マインド・ゲーム」を製作したスタジオ4℃という製作会社のスタッフがいい具合にデフォルメし、躍動感を与え、そして圧倒的で原作を超えるビジュアルの美術(背景)の中でいきいきと動いている。
そしてシンプルだけど重厚で中身の濃い、ストーリーと構成と演出力にこのアメリカ人監督の才能を見せ付けられました。ハリウッド作品のCGやVFXに携わってきた経歴がありつつ、日本アニメのキモをしっかり掴み、キチンとした作品に仕上げている。「マインド・ゲーム」と「AKIRA」と「イノセンス」と北野武作品(初期の)を併せたような作品でした。
豪華な声優陣もこの凄い内容を壊さず、作品の世界観の構築にそれぞれの個性を生かしている。特に物語の中心ですべてを救う重要な少年シロを演じる蒼井優の演技は圧倒的にすごく、鳥肌が立つぐらい。
また、豪華で多彩な声の出演者たちに混じり、プロの声優もいい味と声の存在感で物語をしっかりと締めている。特に刑事役の西村知道は「パトレイバー」の松井刑事でもそうだったけど、良心的な刑事役をやらせたら玄人で、物語を冷静に外から見る役目をここでもしっかり担っている。
前半は少年たちがマトリックス張りに町を飛び回り、暴力が数珠つなぎで連続する展開に腰が引けたけれど、いつのまにか深く引き込まれ、頭の中をかき回され、感動し、スカッとまではいかないけれどいろいろ考えさせられながらも最後はあったかい気持ちになれました。確かに暴力シーンが多く作品全体を覆っているけれど、よく見ると直接的な暴力描写は少なく、暴力を含む心の闇と戦うといったテーマ(?)のためには必要であり、暴力が支配する内容からラストへの展開には、緊張から感動に繋がっている。ホントウに濃い映画でした。
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