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2007年1月26日 (金)

不都合な真実

米映画

監督:デイビス・グッゲンハイム

出演:アル・ゴア

クリントン政権時代の米国副大統領で、2000年の大統領選でジョージ・W・ブッシュに衝撃的で疑惑の逆転負けを喫したアル・ゴアが地球温暖化に警鐘を鳴らすドキュメンタリー映画。(今年のアカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門にもノミネートされてる)

この人は昔から環境問題、特に地球温暖化問題に力を入れてきた人だそうで、ゴア氏の講演会を映画館で見せられるといった内容。

と言ったら、堅くて退屈そうなイメージが湧くけれど、これが全く想像と違い、ユーモアや知的な格言、アニメやCGを交えながら、グングン引き込まれながら、地球の現状を改めて認識させられ、考えさせられる、衝撃的でマジメな内容だけど「面白い」映画でした。

何よりも、ゴア氏の語り口は観客を引き付ける話術と、誠実で真摯な姿勢には驚くばかりで、大統領選に負けたときに勝手に抱いていた情けないイメージとは程遠いリッパな人物であり、「この人が大統領だったら」と何度も想像させられながら見させられる。

環境問題は最も選挙の争点にはなりにくい要素だとは思うけど、最後にキッチリ政治問題として力強く語る姿は感動的でもあり(そんなに説教臭くもなく)、素直にCO2を減らそうという気になるすごい映画でした。

すごくオモシロイ「見るべき映画」です。

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2007年1月21日 (日)

ディパーテッド

米映画

監督:マーティン・スコセッシ

出演:レオナルド・ディカプリオ マット・デイモン ジャック・ニコルソン マーク・ウォルバーグ マーチン・シーン アレック・ボールドウィン

メチャメチャ待望していたスコセッシの最新作!

香港映画「インファナル・アフェア」は日本公開時からハリウッドがリメイク権を購入したことを宣伝文句にしてたくらいだけど、なんとスコセッシが監督するとはビックリで、しかもトニー・レオンの役がディカプリオでアンディ・ラウの役がマット・デイモン。ディカプリオは「ギャング・オブ・ニューヨーク」「アビエイター」と立て続けにスコセッシ作品に出ていて、慣れたというかぶっちゃけ「もういいんじゃない?」という感じさえあったけど、全く異質で同等以上に主役級のマット・デイモンがするっていうのにはビックリ。

それよりも、スコセッシがひさびさにマフィア(ギャング)映画を撮って、しかもあのジャック・ニコルソンが出演するっていうだけで、もう大興奮でした。

あとあんまり話題にならないけど、マーク・ウォルバーグまで出ているのはかなりポイントが高いことだと個人的には思うんですけど。特に顔もキャラもかぶり気味のマット・デイモン(「オーシャンズ11」のマット・デイモンの役は最初ウォルバーグがやるはずだったとか)と共演するってのは楽しみにしていたんだけど…。

で、ニコルソンのナレーションで始まるオープニングは、最初からスコセッシらしい雰囲気でググッと引き込まれる。舞台をボストンに設定し、アイリッシュのマフィアたちを描き、マットの少年時代にいろいろ教え込むニコルソンの姿は、「グッド・フェローズ」のレイ・リオッタ(の少年時代)とデ・ニーロの関係のようであり、その後のディカプリオが潜入していく様子など、重厚で贅沢で、もう香港映画のリメイクだなんで完全に忘れ、独立したスコセッシ映画(しかも最近の文芸色の強い2作とは違う)として楽しんでいたんだけど…

当然なのかもしれないけど、中盤あたりからの展開がオリジナルそっくりになってきてから、徐々に不安になってきたんだけど、オリジナルと同じストーリーを追うばっかり忙しい展開は、乱暴すぎるというか、はっきりいうとちょっとガッカリでした。しょうがないんだろうけど、前半で築いた雰囲気がガガガガと崩れるようで。

主要キャラのほかにも、警部役のマーチン・シーンとかニコルソンの片腕のレイ・ウィンストンとか、いいキャラ(キャスト)がいただけに…。

でもラストは少しひねっていたのは、少しよかったです。

思い入れをなくして素直にみたらもっと楽しめると思うのでもう一回見てみようかなと。

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それでもボクはやってない

日本映画

監督:周防正行

出演:加瀬亮 役所広司 瀬戸朝香 山本耕史 もたいまさこ

「Shall we ダンス?」から11年ぶりらしい、周防監督の最新作で、日本の裁判制度を真っ向からとらえた話題の作品だけど、これが時間をかけただけあって、凄い完成度の面白い映画でした。

加瀬亮扮する主人公のフリーターはある日満員電車で女子中学生に痴漢に間違われて、警察に連行されるけど、犯行を全面否定し、起訴され、裁判で無罪を勝ち取るために戦うというお話。

ところどころにホッとする笑いは散りばめられているけど、これまでの作品に比べてコメディ度はグッと抑えられていて、とにかく警察の取調べ、留置所、検察での取り調べ、公判とひとつひとつ順を追って丁寧に分かりやすく表現することに細心の注意がくばられ、留置所にも裁判にも全く知識がなく不安と恐怖に押し流される主人公に限りなく近い視点から、作品の世界にドップリつからさられる。

とはいえ周防作品独特の軽快なタッチは失われておらず、メチャメチャ自然体でストーリーに入り込め、そこで描かれる裁判制度の矛盾(というより司法、捜査機関にいる人達の姿勢や仕組み)に驚き、怒りながら、笑ったり、ホロっとさせられる、かなり贅沢な作品に仕上がっている。

特に裁判官が交代してから、緊張感が一気に高まっていく展開はさすがで、ラストについても納得というか、ああやって終わるのがベストと思わせられた。

どこにでもいそうな男を演じさせられたらメチャメチャいい感じを出す加瀬亮はここでも凄くいい味を出していて、主演という大役ながら作品全体のトーンにすっすり溶け込んでいて、可哀相な主人公にリアルになりきっている。

その他のキャストもそれぞれピッタリで、法廷のシーンも「愛ルケ」のダラダラ裁判シーンと違って、まるで傍聴しているかの臨場感でみせてくれる。

いやあ、メチャメチャ勉強になり、日本の裁判制度について考えさせられたけれども、異常な満員電車もなんとかならないものかと改めて強く感じさせられました。

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2007年1月20日 (土)

マリー・アントワネット

米仏日合作

監督:ソフィア・コッポラ

出演:キルスティン・ダンスト ジェイソン・シュワルツマン スティーヴ・クーガン

マイケル・コルレオーネの娘役として出演した「ゴッドファーザーPARTⅢ」でのビミョーな演技がまだ記憶に残っているけれど、「ロスト・イン・トランスレーション」の大成功で、「フランシス・フォード・コッポラの娘」という肩書きよりも、ひとりの映画監督としての地位を確立したソフィア・コッポラの第3作目。

東京の街をゲリラ的に低予算で撮り上げた前作とはうってかわり、今回はタイトル通り、歴史上最も有名な王妃を主人公に、18世紀のヴェルサイユ宮殿を舞台に超豪華絢爛に描いたコスチューム・ドラマ。

「ヴァージン・スーサイズ」でも「ロスト~」でもフツーとはちょっと違う視点の映画を撮ってきたソフィア・コッポラは、この王妃の物語をフツーの歴史物にはせず、マリー・アントワネットを現代のセレブのようにドハデに遊びまくる姿をロックのリズムにのせ軽快にテンポよく描きながら、宮廷という特殊な場所で思うままにならないひとりの少女(女性)を浮き彫りにさせていく。

マリー・アントワネットのいたオーストリア側ではバックの音楽はクラシック調だったのが、フランス側になった途端、エレキギターが響いてきて、音楽や美術、小物等、きめ細やかな心配りがされていて、単調なストーリーの中でも飽きずに見ていられた。

たぶん、歴史的に大間違いであろうドハデなファッションやケーキや料理の数々により堅苦しい歴史ものというジャンルを忘れさせ、極端な状況におかれた極端なヒロインを表現するのに、インパクトばっちり。

「ヴァージン~」に続くソフィア映画主演となったキルスティン・ダンストは、見る角度によっては井筒監督にいうように「ブサイク」にも見えるけれど、ある角度からでは美人に見えたりして、そんな超美人でもない彼女としてハシャいだり悩んだりする姿は、イヤミのないマリー・アントワネット像を新たに想像したって感じ。

ルイ16世役のジェイソン・シュワルツマン(タリア・シャイアの息子!てことはソフィアのいとこ)も「天才マックスの世界」は見ていないけど、「ハッカビーズ」なんかでも見せていた飄々とした感じはここでも出ていて、いい感じでした。

あと、フランス宮廷を舞台にしながら、アメリカとかいぎりすの俳優ばっかだったけど、「キングス&クイーン」のマチュー・アルマリックがほんの一瞬でも出てくるところに、監督が楽しんで撮ってる感じもして、よかったです。

マリー・アントワネットの悲劇や善悪よりも、数奇な女性の日常をカジュアルな映画としてみせてくれる、けっこう「あり」な映画でした。

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2007年1月19日 (金)

愛の流刑地

日本映画

監督:鶴橋康夫

出演:豊川悦司 寺島しのぶ 長谷川京子 佐藤浩市 陣内孝則 津川雅彦 富司純子

渡辺淳一作のエロ小説「愛ルケ」の映画化。連載していた新聞は取っていたけど、ほとんど興味もなく、たま~にチラチラ覗き読む程度であらすじを知っている程度だったけど、そのドロドロカップルを寺島しのぶとトヨエツがやるっていうのであっては、見ざるを得ないかったんで…。

小説ではたしか、ヒロイン冬香が死ぬのは中盤ごろで、その後はえんえんと裁判の様子が続いていたと思うけど、映画では冒頭セックスシーンから入り、いきなりヒロインは死んでしまう。その後警察の取調べや裁判の証言等で出会いから事件に至るまでが少しずつ明らかにされていくといった内容。

監督はテレビの演出家の人らしいんだけど、展開というか全体の雰囲気がなんとなく緩慢なのと、裁判のシーンはセットは安っぽく、カメラも人物を捕らえきれてないっていうか、焦点が定まらず見にくいのとで、見ていてチョイきつかった。

でもまあ、超実力派・寺島しのぶとトヨエツの演技によって、なんとか最後まで見られます。

衝撃的傑作「赤目四十八瀧心中未遂」をはじめとして破滅的な女性を演じさせたらリアルでイロッぽくものすごく完成された感のある寺島しのぶは、ここでもというかここでは出番の約半分ぐらいがセックスシーンという役を文字通り体当たりで、でも無理なく演じきっている。

その寺島と「やわらかい生活」でい~い感じのカップル(?)を演じてみせた豊川悦司も、「やわらかい~」とは真逆な関係だけど、そんな彼女を受け止め、その後苦悩する姿を自然に演じている。小説の主人公のイメージはショボくれたオッサンだったけど、そのギャップがけっこうよかったです。

そして多分原作には出てこない展開だと思うけど、クライマックスで富司純子が出てくるシーンにはけっこうグッときた。富司純子は「犬神家」といい、本作といいホント子供との親子役が続いている(「犬神家」は助清役の尾上菊之助)けど、ここでも寺島しのぶとのシーンや裁判のシーンとか短いけどシマっててよかったです。

あと、ハセキョーがウザいと感じたのは私だけでしょうか?裁判シーンはほとんどボウ読みでいっぱいいっぱいだし、よけいな色気もよけいだったし。

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2007年1月17日 (水)

デート・ウィズ・ドリュー

米映画

監督:ジョン・ガン ブレット・ウィン ブライアン・ハーズリンガー

出演:ブライアン・ハーズリンガー ドリュー・バリモア

面白いっ!メチャメチャくだらないけどメチャメチャ面白い!今年見た映画の中では「長い散歩」に次いで現在第2位。(まだ7本しか見てないけど)

映画関係者を夢見るけれど、なかなかかなわず定職にもつけないでいる見た目ショボい白人の男(ブランアン・ハーズリンガー)が、クイズ番組で手に入れた1,100ドルを元手に、30日間で子供の時から熱狂的なファンだった女優ドリュー・バリモアとデートするまでをドキュメンタリー映画に収めるべく、友人ふたりに撮影させ、奮闘する姿をえんえん撮り続けるというもの。

マイケル・ムーアのがアポなし映画だとしたら、こちらは究極のアポ入れ映画。

といっても全く無名のビンボー人たちがドリュー・バリモアとコネがあるわけでもなく、ドリューの友人の友人の友人みたいのに頼みに行ったり、PVを事務所に送りつけたり、パーティー(「チャリエン・フルスロットル」の!)に忍び込んだりと知恵を絞りながら悪戦苦闘したり、ちょっとしたチャンスに一喜一憂したり、悩んだりする姿には笑わせられながらもその飾らない姿とくじけずホジティブな姿勢に、いつのまにか本人といっしょにドキドキハラハラさせられ、ものすごく引き込まれてました。

関根勤の著書に「バカポジティブ」という本があるけど、まさにバカポジティブを地でいっていて、30日間憧れのドリューに会うことためだけに突き進む(ほとんどは無駄足、寄り道だったりするけど)バカさ加減はくだらないけどけっこうグッときます。

そして、クライマックスには超感動というか、ハッピーになれる映画でした。

いやあ、ドリューいいですねぇ。

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2007年1月16日 (火)

長い散歩

日本映画

監督:奥田瑛二

出演:緒形拳 高岡早紀 杉浦花菜 松田翔太 原田貴和子 木内みどり 奥田瑛二

俳優・奥田瑛二の監督第3作にして、モントリオール映画祭っていうのでグランプリを受賞した作品だそうだけど、これが評判通りの大傑作!前作「るにん」も松坂慶子以下キャストが江戸時代の罪人になりきり、鬼気迫る迫力の快作だったけど、今回のは限りなくシンプルで静かな中に、人の優しさや哀しさ、無情、現実、ファンタジーがギュッと詰まった濃い作品だった。

内容はもうすっかり知れてると思うけど、緒形拳演じる主人公・松太郎は厳格な人物(元校長先生)だけど、家庭を顧みないうちに妻を亡くし娘との関係も断絶し、ひとりで安アパートに越してくる。その隣りの部屋には高岡早紀扮する母親が5歳の娘・幸と(ヒモの男と)住んでいた。けれどこの母親は娘を虐待しまくっていて、松太郎は我慢できずにそんな環境から幸を救い出し、2人で旅に出る。やがて松太郎は誘拐の容疑で手配され追われるようになるが、幸に青い空を見せるために逃亡しながら旅を続ける。家族に愛を示せなかった老人と虐待され心を閉ざしていた少女が次第に心通わせていく姿を、母親、旅で出会う青年、刑事たちといった周囲の人物も丁寧に描きながら、じっくりと見せてくれる。

とにかく緒形拳の演技が凄い。すごいといっても孤独な老人が一大決心をして大冒険に出る姿にジワジワといつのまにかググッと引き込まれている。

その他、高岡早紀も憎たらしいけど哀しい女性を体当たりで演じているほか、他のキャストも凄い集中力でキッチリした映画になっている。

虐待を真正面からガッチリ描きながらも、それ以外の人間関係をじっくりと見せつつ、飽きさせない泣けるエンターテイメントにもなっている、奥田監督、入魂の一作で、最近の日本映画の中で最も評価されてもいい作品のひとつと言ったら大げさかもしれないけれど、それぐらいのモノを感じました。

UAの歌うエンディングにも泣けるし。

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2007年1月14日 (日)

ラッキーナンバー7

米映画

監督:ポール・マクギガン

出演:ジョシュ・ハートネット ブルース・ウィリス ルーシー・リュー モーガン・フリーマン ベン・キングスレー

けっこう豪華なキャストが顔を揃える、ドンデン返し型のクライム・サスペンス。

ジョシュ・ハートネット演じる主人公はニューヨークの友人の家を訪ねてきたれど、留守の友人に間違われて、敵対するギャング両方から多額の借金返済を迫られ、片方からは借金返済の代わりにもう一方の殺人を依頼されるなど、どんどん事件に巻き込まれていくんだけど…みたいなお話。

テンポのよさと、かなりひねった展開にはなかなか飽きずに、確かにけっこう面白いんだけど、ちょっと後味がよくないなあっていうのが正直な感想です。なんでかっていうと、とにかく人が死にまくるもんで…。あんだけ殺しといてハッピーエンドもないかなと。

役者でいうと、ジョシュ・ハートネットは若いころのブラピの雰囲気も出てきてなかなか良かった他、ルーシー・リューが(意外に)よかった。2大ギャングに扮する2大アカデミー俳優モーガン・フリーマンとベン・キングスレーはなんでこんな役を?て思うぐらいちょっともったいない気が…。ブルース・ウィリスは最近では一番カッコいいけれど、もうちょいインパクトが欲しいかなと…。

ラストの展開でググクッと盛り上がり、謎が明かされていくんだけど、それとともになんとなくイヤな気にさせられてしまう復讐映画でした。(面白いことは面白いんだけど)

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人生は、奇跡の詩

伊映画

監督:ロベルト・ベニーニ

出演:ロベルト・ベニーニ ニコレッタ・ブラスキ ジャン・レノ トム・ウェイツ

「ライフ・イズ・ビューティフル」で、イタリア語映画にがら米アカデミー主演男優賞を取るなど世界的大成功を収めた後「ピノッキオ」でちょっと外した感があったイタリアの大コメディスター ロベルト・ベニーニの新作で、現代のラブ・ストーリー(コメディだけど)になっている。

「ライフ~」は第二次世界大戦下、そしてユダヤ人収容所の過酷な状況下、夫婦愛、親子愛を描いていたけど、今回は2003年のイラク戦争真っただ中のバグダッドに愛する女性を救いにいく詩人の姿をベニーニ特有のマシンガントークとやさしい笑いでロマンチックで可笑しい作品になっている。こんなにも早くイラク戦争を舞台にするという点では、社会派的な目をかなりのもんだけれど、ベニーニのタッチで全体的にやさしい映画になっている。

今回はラブ・ストーリー色を強めるためか、これまでの役よりもエキセントリックさは抑えられているけど、相変わらず恋に一直線な男を相変わらずパワフルで愛らしく演じきっているベニーニの姿が見られるだけでもこの映画を見る価値はあると思うけれど、今回はジャン・レノがイラク人の詩人でいい味を出している他、ジャームッシュの「ダウン・バイ・ロー」で共演したトム・ウェイツが渋い歌声を披露してかなり贅沢になっている。

ベニーニ作品でかならずヒロインを演じているベニーニの実際の奥さんでもあるニコレッタ・ブラスキも今回がいちばんキレイというか、いい感じに仕上がってました。

イラク戦争というショッキングな舞台設定にしつつも、その戦争に対する掘り下げ方がちょっと足りないかなあという感も残るものの、そんな中で盲目的に愛する女性のために奔走するベニーニの姿は可笑しくも感動させられるし、インパクトや「泣かせ」といった意味では「ライフ~」に若干届かないような気もするけど、見終わったあと、いい気持ちになる大人のおとぎ話(特にラストが!)になってます。

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サラバンド

スウェーデン映画

監督:イングマール・ベルイマン

出演:リヴ・ウルマン エルランド・ヨセフソン ボリエ・アールステット ユーリア・ダフヴェニウス

スウェーデンの世界的大巨匠(恥ずかしながら見るのはこれが初めてですが)が、85歳(当時)にして20年ぶりに撮った、そして自らが「遺作」と呼んでいるという、気合のこもった作品。

1974年の作品「ある結婚の風景」の続編として、当時の主人公が年老いてからを描いているらしいけれど、ひとつの独立した作品として確立した内容とストーリーになっている。

主人公の女性が30年前に離婚した年老いた元夫のもとを訪ね、しばらくその家に滞在することにする。その家の近くには元夫の息子(主人公のではない)とその娘が住んでいる。そこで主人公と元夫の枯れているがどこかでつながっている関係、元夫とその息子との確執、息子とその娘との屈折した愛情などが静かだけど内で激しく燃えるように描かれている。

「サラバンド」のいうのはヨーロッパの宮廷での古典舞踊(特にバッハのが有名らしいです)のことで、息子とその娘はチェリストで、その音楽にそったような重厚な流れでストーリーが進んでいく。そして物語を10個のパートに分け、それぞれのパートでは登場人物は必ず2人、1対1でしか登場せず、時には静かに、時には激しくぶつかり合い、かわされる会話やその表情(特に女性たち)には、巨匠のもの凄い集中力が感じられ、最初から最後までずっと引き込まれっぱなしでした。

主人公役のリブ・ウルマンは、やさしさの中に人生の痛みみたいなものをにじませている初老の女性を静かに気品たっぷりに演じている。そして元夫の孫娘カーリン役のユーリア・ダフヴェニウスという女優も、活発ではっきりした若い女性を魅力たっぷりに演じている。この女性2人が対象的だけど上手くかみあっていて、さすが巨匠!的な深みたっぷりに描かれている。

セリフ回しは難しいけれど、人間同士のぶつかり合いという根源的な物語はしっかり感じられる見といてよかったと思える作品でした。

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2007年1月 8日 (月)

無花果の顔

日本映画

監督:桃井かおり

出演:山田花子 桃井かおり 石倉三郎 高橋克実 HIROYUKI

大女優・桃井かおりの第1回監督作品で、山田花子を主演に迎えたところからも異色という匂いがプンプンする作品。

娘・山田花子、父・石倉三郎、母・桃井かおり、息子・HIROYUKI(インディーズのミュージシャンらしいんですが)のバラバラなんだけどどこか繋がっている面白家族の変な日常をジワジワ描いている。

脚本も書いている桃井かおりの才能はスゴいなあと思うけれども、はっきりいってなかなか理解できなかったというか、ぶっちゃけグッとくるものがあんまりなかった。(私はですが)

でも、山田花子の自然な演技は凄くよく(カワイくみえたし)、それを引き出しただけでも桃井かおり監督は凄いなあと感じさせられました。

あとは石倉三郎がいい味出して映画の前半を引っ張っていた。それだけに後半の展開というか変わっちゃった雰囲気が残念に感じちゃいました。

お母さん役の桃井かおりもいい味は出しているんだけど、他のキャラでは表現しきれない映画の雰囲気を一手になんとかしようとしているようで、一人舞台を見せられている錯覚も覚え、若干微妙な雰囲気になっているような気が…。あの役は別の女優さんにやらせて自身はもうちょっと小さい役をやったほうが物語が締まってよかったのではないかと…。

説明的な展開を一切廃して、家族の様々な顔を描いているのだけど、石倉さんのエピソードはもうちょい掘り下げてほしかったというか、もうちょい分かりやすければ、グググッときたと思うんですが…。(分かる人には分かるのかもしれず、大きなお世話かもしれませんが) 

分からず、乗れず、ぶっちゃけちょっと長く感じさせらる映画でした。

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2007年1月 7日 (日)

あるいは裏切りという名の犬

仏映画

監督:オリヴィエ・マルシャル

出演:ダニエル・オートゥイユ ジェラール・ドパルデュー ヴァレリア・ゴリノ

フランス産の超ハードポイルド刑事もの。実際にあった事件をモチーフに、フランスでそれぞれがものすごいキャリアを持つ2大名優ダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデューがライバルの刑事役で火花を散らすっていうんで、地味というかシリアスでジワジワくる作品を想像していたら、銃撃戦やカーチェイスなんかバンバン出てきて、裏切りやらドンデン返しとかが盛りたくさんで、フランス映画というより、最近の香港の犯罪ものに近い感じ。

パリ警視庁の探索出動班(BRI)のリーダー・レオ(オートゥイユ)と強盗鎮圧班(BRB)のリーダー・ドニ(ドパルデュー)は、次期長官候補として競い合い(レオが一歩リード)しながら、凶悪強盗団を追っている。レオのほうがいわゆる「いい」刑事で、ドニのほうは出世欲に取り付かれた「悪い」刑事。で、犯人を追い詰めたところで、ドニのミスでBRI側のレオの同僚が犯人に殺されてしまう。怒ったBRIはドニを告発するが、捜査中にいろいろあってレオが投獄され、その間ドニは不問に付され、長官にまでなって…みたいなお話。

とにかく目まぐるしい展開の連続で、事件と陰謀と愛と憎しみがごちゃまぜになった中で、オートゥイユとドパルデューが男臭く苦悩と策略を重ねる渋い演技を見せてくれるのだけど、はっきりいっていろいろ詰め込みすぎていながらそれぞれのつながりと必然性がシックリと感じられず、あんまり乗れないまま終わってしまった感が。

特にラストにかけての展開が、たしかにドンデン返しなんだけど、そんなドンデンいらないんじゃ?的に感じちゃいました。でもまあ、2人の大俳優の濃い演技が見られただけでもけっこう満腹感ありでした。なぜかフランス映画に出ている「レインマン」のヴァレリア・ゴリノ(オートゥイユの奥さん役)にもちょっとビックリしたし。

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ヘンダーソン夫人の贈り物

英映画

監督:スティーブン・フリアーズ

出演:ジュディ・デンチ ボブ・ホスキンス クリストファー・ゲスト ケリー・ライリー ウィル・ヤング

1930年代に実際にロンドンにあった、イギリスで初めて舞台で女性のヌードをみせた劇場をモデルに、その劇場のオーナーで富豪の老未亡人のヘンダーソン夫人が劇場を立ち上げ、第二次世界大戦中も舞台を続けていく姿を描いたドラマ。

オスカーの常連でもあるイギリスの大女優ジョディ・デンチ(「恋におちたシェイクスピア」で助演女優は受賞)は、この作品で去年のアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされており、ヌード興行に夢中になる老夫人をユーモアと毒気たっぷりに、そして若干悲しみをにじませたシリアスさも交えて、活き活きと演じている。007シリーズのMとかいろいろ演じているけど、最近では最もよく、やっぱりこの手をさせたら、メチャメチャいい味を出している。

物語は戦争の影がせまる(または渦中の)暗い時代をベースにしつつ、軽快なテンポで、ヌードがひとつのトピックスになっているけれど、決していやらしくなく、むしろ上品で懸命に生きる女優たちを生き生きと描き、「グリフターズ」「ハイ・フィデリティ」その他いろいろのスティーブン・フリアーズ監督は、コメディとシリアスとロマンスを絶妙に混ぜ合わせている。

製作も兼ねたボブ・ホスキンスも、いつもより毒気がなく、ジョディ・デンチの相手役としていい味出していて、70代の女性と60代の男性をメインにした、軽快で上品ないい映画でした。

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シャーロットのおくりもの

米映画

監督:ゲーリー・ウィニック

出演:ダコタ・ファニング  声)ジュリア・ロバーツ スティーブ・ブシェミ ロバート・レッドフォード

予告編を見たら「ベイブ」そっくりにブタやその他の動物がしゃべりまくり、主役のブタが肉になりたくないとがんばる内容にパクリ?もしくはリメイク?(ベイブはオーストラリアの映画なので)と思ったけど、昔っからアメリカでは親しまれている絵本の映画化らしい。

とある牧場で小さすぎて処分されようとしていた子豚を牧場の娘(ダコタ・ファニング)が反対して育てる。大きくなってきたので、娘の手から離され、納屋で他の動物たちと暮らすようになった子豚がそこに住むシャーロットというクモ(声はジュリア・ロバーツ)と仲良くなる。で、子豚は冬になる頃には肉にされてしまうので、シャーロットを中心とした動物たちが助けようとするお話。

この手の話の時はいつも、たしかに子豚はかわいくて助かるのはいいけれど、他の豚は確実に死んでるんじゃないの?と考えてしまうけど、その点さえ気にしなければ(重要なことだけど)、モロ子供むけながらもなかなか良かったかなと。CG満載な割にはかなり地味なお話も、逆に好感もてたりして。

クモ役のジュリア・ロバーツやネズミ役のスティーブ・ブシェミ、カラス役のトーマス・ヘイデン・チャーチとか声の出演は結構豪華(一番目玉だと思っていた馬役のロバート・レッドフォードはちょっと期待外れだったけど)で、大人は絶対に字幕版で見たほうがいいけれど、大人だけで見るには若干ツラいかも…。

クモのシャーロットが頭良すぎるところに最後まで引っかかったり、ダコタ・ファニングの役が中途ハンパなところに引っかかったりするけど、生きることの大切さなんかをそんなに押し付けがましくなく伝えるところなんかは、さすがに昔からある児童文学なんだろうなあと思いつつ、見てそんなに損じゃない作品でした。

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大奥

日本映画

監督:林徹

出演:仲間由紀恵 西島秀俊 高島礼子 井川遥 及川光博 岸谷五郎 杉田かおる

フジテレビのヒットドラマ「大奥」を主演に仲間由紀恵を迎えての映画化。

時は七代将軍家継の治世。大奥では、まだ5歳の将軍の生母(前将軍の側室)月光院(井川遥)と前将軍の正室・天英院(高島礼子)が2派に分かれてドロドロした派閥争いをしている。で、月光院は将軍御側用人の及川ミッチーと密通しており、老中・岸谷五郎と天英院が月光院とミッチーを追い落とすために(密通を表沙汰にするために)、大奥総取締役で月光院派の絵島(仲間由紀恵)に歌舞伎役者(西島秀俊)をけしかけ、陥れようとするといったお話。「絵島生島事件」(歌舞伎役者が生島新五郎という名前)として実際にあったスキャンダルを映画にしたらしい。

テレビの「大奥」は1回も見たことがなかったけれど、さすがに映画だけあって、衣装とかも豪華で、テレビよりはお金がかかってるんだろうなという雰囲気は感じられるんだけど、話にテンポがなく、盛り上げ方も音楽ガンガンかけて若干わざとらしく、テレビのスペシャルを見させられているといった印象。映画として見させられるにはかなりツラかった。

仲間由紀恵がジワジワ男に惹かれていくところはよかったけど、その他の人物が全員薄っぺらに見えて非常にツラかった。相手役の西島秀俊は哀愁のある歌舞伎役者を雰囲気たっぷりに演じているんだけど、この役者の行動が最後まで理解できず(分かるように描いておらず)、最後まで「う~ん」といった感じで終わってしまった。

あとやたらに「友情出演」や「特別出演」とかいう役者が多すぎるのも、気が散って仕方がなかったです。見てるほうには関係ないのに…。

地味に脇を固める麻生祐未(こんな役やるのかと若干ショックだったけど)と中山忍が控えめでよかったです。

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