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2007年3月26日 (月)

ホリデイ

米映画

監督:ナンシー・メイヤーズ

出演:キャメロン・ディアス ケイト・ウィンスレット ジュード・ロウ ジャック・ブラック エドワード・バーンズ

それぞれロサンゼルスとイギリスの田舎(ロンドンの近く)に住む、キャリアウーマンで一人暮らしの独身女性が、それぞれ失恋の傷を癒すために、クリスマスにお互いの家を交換して休暇過ごすというお話。

この女性をキャメロン・デイアスとケイト・ウィンスレットが演じ、それぞれが休暇先で出会う男性をジュード・ロウとジャック・ブラック(!)が演じていて、「恋愛適齢期」でダイアン・キートンとジャック・ニコルソンを使って大人のラブコメを作ったナンシー・メイヤーズが監督するってんで、完成度の高い大人のコメディを想像して見にいったんだけど…

キャメロンとジュード・ロウのカップルは割とありがちだけど、ジャック・ブラックとケイト・ウィンスレットのラブコメなんてなかなか見られないんで楽しみにしていたんだけど、はっきりいってなかなか入り込めなかった。

主要人物それぞれが不幸でもなく、親近感もあんまりなく、リアルさが感じられず、ぶっちゃけ展開にあんまり興味をもてなかった。でもってロスとイギリスの話を交互にもってくるんでそれぞれがなかなか盛り上がらずに…。

ジャック・ブラックらしさはチラッとみえて、そのシーンはよかったんだけど(ビデオ屋のシーンには思わぬサービスもあり!)、男としてはあんまり特徴というか、共感できるとこもあんまりなく…  出てきたキャラの中ではキャメロンと冒頭で別れちゃうエドワード・バーンズが一番人間っぽいような気が。

何気なくみていたけど、やっぱりラブコメって難しいんだなと改めて感じちゃいました。

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2007年3月25日 (日)

パリ、ジュテーム

仏映画

監督:ブリュノ・ポダリデス グリンダ・チャーダ ガス・ヴァン・サント ジョエル&イーサン・コーエン ウォルター・サレス&ダニエラ・トマス クリストファー・ドイル イザベル・コイシェ 諏訪敦彦 シルヴァン・ショメ アルフォンソ・キュアロン オリヴィエ・アサヤス オリヴァー・シュミッツ リチャード・ラグラヴェネーズ ヴィンチェンゾ・ナタリ ウェス・クレイヴン トム・ティクヴァ フレデリック・オーピュルタン&ジェラール・ドパルデュー アレクサンダー・ペイン

出演:スティーブ・ブシェミ ジュリエット・ビノシュ ニック・ノルティ ファニー・アルダン イライジャ・ウッド ナタリー・ポートマン ジーナ・ローランズ ベン・ギャザラ

パリの街を舞台に、18人の世界中の監督が短編を競作した贅沢で上品な映画。

それぞれの作品は5分程度のメチャメチャ短いものだけど、シンプルなだけにそれぞれの監督の個性が凝縮されていて、作者の違う展覧会で絵画をひとつひとつみてまわるような贅沢な時間が過ごせます。

監督たちはあのコーエン兄弟をはじめとして、ガス・ヴァン・サント、「サイドウェイ」のアレキサンダー・ペイン、「セントラル・ステーション」のウォルター・サレス、「パフューム」のトム・ティクヴァ他と驚くほど豪華で様々だけど、この中にホラー映画の巨匠ウェス・クレイヴンまでいるのに更にビックリ!(これがまたちょっとコミカルな大人のお話でよかった)

こんなに多様な監督たちがそれぞれの物語を描いているので、一体感などないかと思っていたらパリという街の持つ雰囲気なんかが、18もある別々の映画にがどこかでつながっているような、ひとつの映画になっているような感じがする。(クリストファー・ドイルのだけが微妙に浮いていたような…)

個人的には久々のスティーブ・ブシェミの独特の雰囲気を楽しめるコーエン兄弟のパートが楽しめたけれど、日本人監督・諏訪敦彦のパートの短い時間でじわっとくるいい一編でした。日本人の作品にジュリエット・ビノシュが出ているだけでもなかなか感動だったけど、ウィレム・デフォーの使い方も絶妙でよかったです。

あとは「そして、ひと粒のひかり」のカタリーナ・サンディノ・モレノが久々に見られてうれしかったウォルター・サレス編もよかったし、全く知らなかった南アフリカノオリヴァー・シュミッツという監督のパートもよかった。

とにかく外れのほとんどなく、かなりお得な映画でした。

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パフューム ある人殺しの物語

独仏スペイン合作

監督:トム・ティクヴァ

出演:ベン・ウィショー ダスティン・ホフマン アラン・リックマン レイチェル・ハード=ウッド

18世紀のフランスで、人並外れた嗅覚を持ち、究極の香水を作るために若い女性を次々と殺していく(若い女性のエキスで香水を作る)男のお話。

欧米で大ベストセラーになったサスペンス小説の映画化で、スピルバーグやスコセッシも映画化権の獲得に競ったらしいけど、結局「ラン・ローラ・ラン」(見てないけど)、「ヘヴン」(クシシュトフ・キエシロフスキの遺稿の映画化)のドイツ人監督トム・ティクヴァの手で映画化された。

処女を殺して香水のエキスを集めるという、ひとつ間違えばバカバカしくみえてしまうお話をトム・ティクヴァ監督は重厚で丁寧に、そして不気味に作り上げ、最後まで見るもののテンションを落とさない作品に仕上げている。

殺人者でありながら純粋な感情しか持ち合わせない無口な主人公のかわりにジョン・ハートによるナレーションは淡々とこの世界の雰囲気を盛り上げ、なにより中世のパリやフランスの街を描く美術が素晴らしくよく、それから闇の使い方がとても上手く、上等なサスペンスになっている。ラストのエエ~っ!?といった展開もなんとなく受け入れられてしまう、テクヴァ監督の手腕にはちょっとビックリ。

「24」のトニー・アルメイダ似の殺人者の主人公を演じるベン・ウィショーというイギリス人俳優地味で不気味な役に溶け込んでいて、感情移入できるはずもない特異なキャラクターの行動ひとつひとつにだんだん惹き込まれていく。

脇を固める豪華な名優も控えめだけどすごく、主人公の香水の調合の師匠役のダスティン・ホフマンは異様な緊張感の続く物語をホッと緩和させてくれる貴重な役を軽妙に演じていてやっぱりさすがといった感じ。アラン・リックマンも相変わらず渋い。

そして、主人公の最後の標的となる美しい娘役のレイチェル・ハード=ウッドは後でプロフィールを見て15歳と知って超ビックリするぐらい、妖艶で美しい。(この監督は赤毛の女性をとても美しく撮っている)

とにかくクライマックスにはちょっと引いてくまうぐらいの展開が待っているものの、納得というか逆にちょっと感動も覚えるぐらい映像は美しく、統一感のあるなかなかの映画でした。(見る前のイメージよりも全然良かった!)

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2007年3月21日 (水)

ラストキング・オブ・スコットランド

米映画

監督:ケヴィン・マクドナルド

出演:フォレスト・ウィティカー ジェームズ・マカヴォイ ケリー・ワシントン ジリアン・アンダーソン

シブい脇役という印象の強かった(クリント・イーストウッド監督の「バード」は残念ながら見ていないんで)、黒人の演技派俳優フォレスト・ウィティカーが残虐で有名なウガンダのアミン大統領役を演じ、アカデミー主演男優賞を獲っちゃった作品。

「グッドモーニング・ベトナム」とか、「フェノミナン」とか、主役だったジムジャームッシュの「ゴースト・ドッグ」とか、悪役だった「パニックルーム」でさえ心の優しい役がピッタリはまっていて、それだけに歪んだ狂人であるアミン役は迫真のド迫力でありながら、繊細な心の揺れなんかも細やかに演じていて、オスカーとったのもなるほどと納得させられます。

で、お話は最初はアミンの主治医となり側近となっていくスコットランドの青年医師の視点で、最初はカリスマ的な指導者だったアミンが次第に恐怖の独裁者になっていく姿をジワジワ盛り上げて描いている。

もっと政治的というか伝記的な映画かと思って見にいったんだけど、見終わった後、権力を持つ恐怖の人物に惹きつけられつつも巻き込まれていく人を描くサスペンス映画だったという印象が強かった。特にラストにかけて。

単なる好奇心からドンドン深みにはまっていく医師役のジェームズ・マカヴォイ(「ナルニア国」のヤギみたいな人だったらしい…)は、恐れを知らない不敬な若者が次第に本当の恐怖に怯える役を上手く演じている。この人のうまいビビリ方がウィティカーのアミンの狂気を更に際立たせている。

当時「食人大統領」という映画まで作られた(そんな記憶が)アミンだけど、ウィティカーの演じるアミンはただ訳の分からない悪人を怖そうに演じているだけではなく、恐怖によってジワジワと狂気にハマっていく弱い人間という一面を影に潜ませながら演じていて(そう見えた)、アミンが変貌していく姿には怖いながらも引き込まれていきます。

とにかくシンプルだけど「濃い」映画でした。

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2007年3月19日 (月)

アンフェア the movie

日本映画

監督:小林義則

出演:篠原涼子 江口洋介 椎名桔平 加藤雅也 寺島進 濱田マリ 大杉漣 成宮寛貴

篠原涼子扮する女刑事「雪平夏見」が主人公の連続テレビ番組の映画化。篠原涼子のかっこいい刑事姿が評判だったけど、それにつられてついついテレビシリーズも見てしまって、スペシャルドラマまで見ちゃったけれど、途中からドンデン返しが売りになり、身内が必ず黒幕というパターンになってしまって、逆に「またかい?」という気に… 割と面白かったのは西島秀俊が篠原に撃ち殺されるあたりぐらいまで。

今回の映画もドンデン返しというか犯人探しが売り中の売りになっちゃってる。登場人物みんなが怪しいみたいな作りにしちゃってるんで、篠原以外の登場人物の動きが中途半端になってしまい、警察ドラマとして大切なひとりひとりのキャラがあんまり立ってこない。

でもって東京都民みんなを殺せちゃうバイオテロっていう設定が浮世離れしていて、全然緊迫感がないし、ドンデン返しのために作られたストーリーと展開はアラというか矛盾ばっかしだし…アクションもグダグダだし…でもまあ篠原涼子がかっこいいんでなんとなく許せちゃうってかんじの映画(?)。

成宮寛貴なんか何で出てきたのか分かんないキャラだけど、元からいた加藤雅也とか寺島進なんかはいいきゃらなのになんかもったいない感じが。「踊る~」みたいに加藤雅也を主役にしてもう1本作ってみても面白いんじゃないかと思うんだけど…(もうちょっと丁寧に)

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2007年3月18日 (日)

輝ける女たち

仏映画

監督:ティエリー・クリファ

出演:ジェラール・ランヴァン カトリーヌ・ドヌーヴ エマニュエル・ベアール ミュウ・ミュウ ジェラルディ・ペラス

半裸の女性たちがステージの上できらびやかに踊り、エマニュエル・ベアールがステージで妖艶に歌う、今年のフランス映画祭のオープニング作品としての華やかな予告編から受ける印象とはちょっと違い、家族ひとりひとりを淡々と追いかけた落ち着いた映画(出ている人は十分華やかだけど)でした。

フランスのニースにある伝統的なキャバレーのオーナーが死に、離れ離れになっていた家族が集まる。それぞれに確執や秘密を持ちながら、上手く相手との関係を築けなかった家族のそれぞれが、キャバレーをまかされ(またはまかされず)、その運営を中心にそれぞれの関係を再構築していくといったお話。

いきなりの刺激的なステージシーンなんかはさすがフランス映画だなあと思わされ、かカトリーヌ・ドヌーヴやエマニュエル・ベアールなんていうフランスの大女優が競演していたりと、大人のフランス映画としてはとても贅沢な作品なんだろうけど…

展開がスローというか、いったいそれぞれが何をどうしたいのかがあんまり見えず、「う~ん…」とついていけないまま、いつの間にか映画が終わってしまっていた。この手の映画を見るにはまだまだ子供だったということなのか、フランスの大人たちにとって名作でも日本人向ではないのかよく分からないけど、正直ギブアップでした。

もうちょっと精進しなければ…

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デジャヴ

米映画

監督:トニー・スコット

出演:デンゼル・ワシントン ポーラ・パットン ヴァル・キルマー ジム・カヴィーゼル

凄い!はっきりいって今年No.1の大傑作といっていいぐらいメチャメチャ面白かった!

職人監督のトニー・スコットの映像も、名優デンゼル・ワシントンの演技も最高だけど、とにかく脚本というかストーリーが凄い。サスペンスとSFとアクションとラブ・ストーリーが見事に交じり合って見た事もない映画になっている。

その内容には「マトリックス」を見た時以上の驚きと衝撃を覚え、1シーン1シーン興奮している自分が分かるぐらいクギ付けにされてしまった。

ニューオリンズのミシシッピー川を運行するフェリーが爆発炎上し、大勢の犠牲者を出す。(冒頭のこの爆発シーンがハンバじゃない) この捜査には警察、FBI等様々な機関が捜査を進めるが、その中でATF(アルコール・タバコ・火器局)の捜査官ダグ・カーリン(デンゼル・ワシントン)も捜査のために現場にやってくる。そこで卓越な頭脳によって捜査を進めるうちに…これ以上説明するともうネタバレになってしまうのでなかなか説明に苦労するけれど、ひとつ言えるのは予告編やCMではこの映画の魅力はこれっぽっちも表現できてなく、とにかく見なければ分からない凄い内容。

複数のジャンルを濃縮しているにもかかわらず、それぞれのジャンルの中でも高いレベルに位置できる作品であり、特にあるジャンル(TS物としか…)では頂点に立つ作品だと私は思います。

「トップ・ガン」以降、アクション・サスペンスを中心とした娯楽映画で高い水準のものを作り続けてきたトニー・スコット監督は、この奇抜なストーリーを、軽快なテンポでそれでいて独特の光加減による重厚な映像により、職人技を発揮している。とくにハリケーンの傷も癒えていないニューオリンズの町並みのレトロな雰囲気が斬新な内容に落ち着きを与えてくれている。

そしてアカデミー賞俳優デンゼル・ワシントンがいつにも増してカッコよくて上手い。アカデミーをとった「トレーディング・デイ」は悪役だったけれど、冷静で頭脳明晰でありながらも正義感の塊みたいな捜査官とか刑事とかをやらせたら、人種に関係なくこの人ほど似合う人はいないけれど、今回は特にすごくいい! トニー・スコット監督とは「クリムゾン・タイド」「マイ・ボティーガード」をやってて息もピッタリだし。

そして、ヒロインというか重要な女性役のポーラ・パットンはほとんど新人ながらもその美しさには目を見張るぐらいで、これからちょっと要チェック。デンゼルとこの人の存在があって、この映画も命が宿ったって感じです。

あとちょっと太めになっちゃったヴァル・キルマーも、太った分なんか愛嬌が出てきた感じで、いい味だしてました。

内容については説明しちゃうとホントに面白さが半減してしまうけれど、ラストのラストまで驚きと感動が詰まっていて目が話せないとにかく凄い作品。その独創性と完成度で個人的にはアカデミー賞あげてもいいと思うぐらいです。(ドンパチが多すぎて全くの対象外だろうけど…「羊たちの沈黙」の例もあるし…)

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グアンタナモ、僕達が見た真実

英映画

監督:マイケル・ウィンターボトム マット・ホワイトクロス

出演:アルファーン・ウスマーン ファルハド・ハールーン リズワーン・アフマド アシフ・イクバル ローヘル・アフマド シャフィク・レスル

イギリスの俊英マイケル・ウィンターボトム監督の最新作であり、アメリカのアフズニスタン侵攻と、テロリスト捜索という「正義」の名のもとに行われる力によるルール無視の非人道的捜査の犠牲になった無実の若者たちの悲劇をドキュメンタリータッチで描いた究極の社会派問題作。

ウィンターボトム監督の作品は、ラブ・ストーリー、歴史もの、音楽もの、SFと様々でいつも驚かされるれけど、「ウェルカム・トゥ・サラエボ」「イン・ディス・ワールド」といった世界の紛争の影響を受ける人々を描く社会派作品では真実に迫るインパクトが強い。特にパキスタンの少年たちが命がけでのイギリスへの亡命の旅を描いた「イン・ディス・ワールド」は無名の少年たちの視点で現地の言葉ばかりで、手持ちのデジタルカメラで撮影した映像のリアルさと実際に起こった事件の衝撃度が強く、そんな中で懸命に生きる少年の姿に心を打たれる印象的な映画だった。

「グアンタナモ」というのは、キューバにある米軍基地で、9.11以降アルカイダ関連のテロリスト容疑のある人々が収容されているところの名前。イギリス国籍を持ちながらも、パキスタン系で、アメリカのパキスタン侵攻時にその場に居合わせたためにテロリストの容疑をかけられて収監され、2年以上拷問ともいえる取調べを受け続けた、実在の無実の若者たちを描いている。

淡々と事実だけを描くドキュメンタリータッチの映像は「イン・ディス・ワールド」の手法に似ているけれど、今回はそれに実際のその若者たちのインタビュー映像を挿入し、彼らの言葉に忠実に映像化されていることが分かる。

とにかく、リアルに描かれる戦場や収監施設や米軍兵たちによる拷問まがいの取調べのリアルさにはおどろかされ、シーンがすすむに連れ、デタラメでありつつ圧倒的な力により一個人を追い詰めていく恐怖に戦慄するばかり。

そんな非道い状況をリアルに描かれている問題作でありつつも、そんな状況に最後まで屈せずに、前を向いて生きようとする彼らの姿には感動をも覚え、また一方的なハドい状況の中でも米兵とのちょっとした会話なんかも細やかに描く内容には、ウィンターボトム監督の手腕はすごいなあと感心させられる一作でした。

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ナイトミュージアム

米映画

監督:ショーン・レヴィ

出演:ベン・スティラー ロビン・ウィリアムズ カーラ・グギーノ オーウェン・ウィルソン スティーヴ・クーガン

夜になると博物館のすべての展示物、全身化石のティラノサウルスやら猛獣たちやら歴史上の人物やらが動き出して大騒動になる、CG満載のハリウッドの娯楽大作だけど、これが見事なほど娯楽に徹していて、素直にかなり面白い!

素直の笑えるコメディ俳優としては多分アメリカではNo.1と思われるベン・スティラーは、ここでもトラブルに巻き込まれるダメなパパ役を自然に演じている。そのベン・スティラーが仕事を転々としてやっとありついた職が博物館の夜間警備員。ところが、夜になると展示物が動きまわり、追い掛け回されたりと、散々な目に合わされながら、息子との関係を強めたり、悪者から狙われる博物館の秘宝を守ったりといった大冒険を繰り広げるといった笑いと感動がつまったファミリー向映画。

ファミリー向とはいいつつ、「ピンク・パンサー」の監督によって作られたこの作品は、特殊効果を多用しながらも間も絶妙で、単純ながらも飽きさせない構成とストーリーで、最後の最後ので楽しめる。

役者も有名無名、新旧かかわらず作品にしっくり馴染んでいて、素直に入っていけ、特にロビン・ウィリアムズはベン・スティラーのサポート役にまわりつつも、しっかり個性も見せつけ久々によかったし、ベン・スティラーの名優でもあるオーウェン・ウィルソンと英俳優スティーヴ・クーガンの米英コメディ(もできる)俳優コンビも小さい役ながらいい味を出している。

CGとか特殊効果ばっかりでスカスカの映画も多いけれど、これはホントに見る人の側にたったエンターテイメントになってて(アメリカの人には歴史の勉強にもなってるみたいで)、あんまり深く考えずに単純に楽しむにはいい映画でした。

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今宵、フィッツジェラルド劇場で

米映画

監督:ロバート・アルトマン

出演:ギャリソン・キーラー メリル・ストリープ リリー・トムリン ケヴィン・クライン ウディ・ハレルソン ジョン・C・ライリー リンジー・ローハン トミー・リー・ジョーンズ

アメリカ映画界の大巨匠、といってもハリウッドの商業的映画とは一線を画すような斬新な作品を作り続けてきたロバート・アルトマン監督が昨年の11月20日にガンによって死亡したというニュースを「めざましテレビ」で見たとき、朝の出勤の身支度をしている最中だったけど、ショックと驚きで2・3秒動きが止まってしまった。(たしか東京の恵比寿ガーデンシネマがオープンしたときの第1回作品だったと思う「ショート・カッツ」は、複雑な群像劇を登場人物ひとりひとりを際立たせながら、見事にひとつの世界を描き、感動と衝撃を受けたもんでした。)

その監督が最後に撮った遺作がいよいよ公開された。(というか、まだまだ新作を見ていたかったので、とうとう公開されてしまったという気持ちも)最後の作品であるにもかかわらず実験的、だけど成熟した大人の映画として、心に残る印象的な映画でした。

映画は、アメリカ全土で長寿で根強い人気を博するラジオのライブ番組「プレーリー・コンパニオン」という作品の企画者でもあり、人気パーソナリティーであるギャリソン・ギーラーという人の企画で、この「プレーリー・コンパニオン」のライブの様子を映画にしていまおうという内容。

この番組は、観客を入れたホールで行われる長時間にわたる音楽(カントリーが中心)などのショーを、ラジオでライブ中継するというもので、映画゛は番組の構成はそのままに、番組はアメリカ全土の人気番組から、地方局(ミネソタ州)だけの放送で、親しまれながらも最終回を迎えるという設定に変え、ギャリソン・キーラーはパーソナリテイーとして本人役で出演している他は、主要な歌手たちをメリル・ストリープやウディ・ハレルソンといった俳優たちを起用し、ステージや控え室をドキュメンタリータッチで描いていくといった内容。

このステージの表裏で歌手たちやスタッフたちが目まぐるしくも活き活きと動き回るだけでなく、ケヴィン・クライン扮する探偵もどきの飄々とした警備主任や「サイド・ウェイ」のヴァージニア・マドセン扮する謎の女なんかが絡んできて、コメディとサスペンスの要素が入り混じっていながらも、あたたかい雰囲気につつまれた映画だった。

複数のカメラでひとつのシーンを同時に撮影するという、ドキュメンタリータッチでライブ感覚たっぷりなんだけど、ひとつ間違ええたらグタグタになりそうな手法を見事に使いこなす監督の手腕にも相変わらず驚かされるとの同時に、企画・脚本もしたギャリソン・キーラーというおじさんの芸達者ぶりも楽しかった。

ショーの終わりや人生の終わりといった何かの終わりをを前向きに受け止めようといったメッセージも込められたあったかい作品であり、番組の中盤にある「老人の死は悲劇じゃない」といったセリフは、もしてかしたか死を予感していたかもしれない監督の観客への言葉にも聞こえ、染みました。

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絶対の愛

韓国映画

監督:キム・ギドク

出演:ソン・ヒョナ ハ・ジョンウ パク・チヨン

世界で高い評価を受ける韓国の奇才キム・ギドク監督の最新作。ここ1年ぐらいで「うつせみ」「弓」に続いて本作と立て続けに作品を発表するペースにも驚かされるれど、どの作品も衝撃的で先鋭的なクオリティの高いものばかりで驚かされる。

これまでの作品での主人公たちは社会に順応できなかったり、社会との関係を断絶しているアウトサイダーが多かったけれど、今回は都会で洒落た生活を営む男女が主人公で、一瞬他の「韓流」と呼ばれる娯楽映画かとも思える設定。

そして、これまでのあまり言葉を発せず、その奇異な行動等で観客を引き込んでいった主人公たちと違って、今度の主人公たちはベラベラとよくしゃべり、アクションもオーバーで、現代の普通の社会人といった感じで、キム・ギドク作品としてはなんとなく雰囲気が違う感じで違和感を感じながら見ていたけど…途中かやっぱりギドク作品といった濃い内容になってくる。

主人公はどこにでもいそうな普通のカップルだけど、女のほうがとにかく男にベタ惚れで、メチャメチャ嫉妬深い。そして男の愛が十分でないと感じ、それは自分の顔や体(それだけでない彼女という存在そのもの)に飽きているのではと思い始める。

そして、精神的に追い詰められた彼女は整形手術を受け、顔を変え、全くの別人となって男の前に現れる…といったお話。

最初は、サイコではありつつも、これまでのギドク映画の登場人物と違い、どうでもいいことで悩んでいる自分勝手で、単なるエキセントリックなだけな女に見えてしまうのと、なんとなくいい暮らしをしている頼りない男に感情移入が出来ず、う~んと思って見ていたら、女の整形後として現れる女優はなかなか上手く、最初は可愛らしく爽やかな印象をあたえつつ、どんどん狂っていく様子が美しくて怖くてなかなか良く、不条理ながらも、サスペンスタッチのラブストーリー的な内容に引き込まれていった。

「整形」というとなんかチャチい印象だけど、そんな表面的なことだけでなく、愛というものや、アイデンテティというものが絶対なのか、永遠なのかということについてググッと突いてくる尖った映画じゃないかと思います。

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2007年3月 9日 (金)

市川崑物語

日本映画

監督:岩井俊二

出演:市川崑

90歳を超えてもなお、一線級で現役を続ける大巨匠・市川崑監督の足跡を俊英・岩井俊二監督が独特のタッチで綴るドキュメンタリー映画。

古い写真の被写体と背景を微妙にずらしながら立体的に手法(押井守の「立喰師列伝」のよう)とほんのわずかな再現映像(でも味のある)のほかは、とにかく「文章」をひたすら読まされる映画。(途中から市川映画の映像が差し込まれるけど)

ところがこの文章が市川映画独特のタイトルロールのようでもあり、「リリィ・シュシュ~」でも多用していた表現の発展形のようでもあり、テンポよく、巨匠の人生の要点を流れるように浮かび上がらせてくれる。

巨匠の足跡は、戦中戦後の日本の歴史でもあり、日本映画の歴史でもあり、波乱万丈ではないものの、魅力的であり、波のように次々に紹介される作品群とともに、どんどん惹きつけられて行った。

特筆すべきは、この映画の核ともいえる脚本家でもある市川監督の妻・和田夏十との関係。岩井監督も2人の関係に心酔していることがよく分かるぐらい丹念に濃密に表現されている。この素晴らしい女性の足跡と、所々で挿入されるやさしい目が印象的な写真によって良質で感動的なラブストーリーも味わうこともできる。

そして後半、「犬神家の一族」(最初のやつ)が紹介されてから、映画少年だった岩井俊二の市川映画体験談も交じり合ってきて、市川崑の物語とともに岩井俊二の映画に対する感覚も少し味わえる。岩井監督の解説によって「犬神家~」がいかに傑作であるかを改めて知ることができた。(他の市川作品ももちろん)

市川作品をまだ10本程度しか見ていない自分としては、これまでの作品全部見たくさせられる小気味いいドキュメンタリーでした。

幻となったという市川監督と岩井監督による「本陣殺人事件」もあったと知らされ、たまらなく見たくなってしまった。とにかく今後も元気に少しでも多く映画を撮り続けてほしいです。

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2007年3月 4日 (日)

ゴーストライダー

米映画

監督:マーク・スティーヴン・ジョンソン

出演:ニコラス・ケイジ エヴァ・メンデス ピーター・フォンダ ウェス・ベントリー サム・エリオット

「スパイダーマン」「Xメン」などのマーベルコミックスのひとつで、バイクを乗り回す全身炎に包まれたガイコツがヒーローの異色のマンガの映画化で、アカデミー賞俳優ニコラス・ケイジがガイコツに変身する主人公を演じている。

悪魔メフィストは自分の手足となって働く人間と契約して、「ゴーストライダー」としての力を授ける。主人公ジョニーも父親の命を助けるために悪魔に魂を売り、ゴーストライダーになってしまう(本人は知らないけど)。ある日、メフィストに対立する別の悪の集団が現れ、ゴーストライダーになり、恋人を守りつつ、悪と戦うって感じのお話。

見た目は悪役で、とても正義のヒーローには見えない怪人なんだけど、不気味だけど妙にかっこよく、ニコラス・ケイジも楽しんで演じてるって感じでインパクトも強くてけっこうよかった。エヴァ・メンデスのなんとなく安っぽい感じのヒロイン役が作品全体のトーンにあってて、なかなかよかった。

悪役も「イージーライダー」ピーター・フォンダも久々で不気味な魅力を出している他、もうひとりの悪魔で実際の敵役となる悪いヤツに「アメリカン・ビューティー」の不思議な少年役だったウェス・ベントレーだったのにはビックリ。こっちはちょっと微妙だったけど…。

ゴーストライダーへの変身とかバイクとかビジュアルも結構よかったけど、ゴーストライダーになるまでがけっこう長くてダレちゃうのと、敵が弱っちすぎるのとで、微妙に盛り上がりに欠けるような気も… アメリカじゃそうとうヒツトしているみたいなんで、続編が出来ればもうちょいブッとんだ映画になるような気も(ニコラス・ケイジ次第だと思うけど)。

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さくらん

日本映画

監督:蜷川実花

出演:土屋アンナ 安藤政信 菅野美穂 木村佳乃 夏木マリ 永瀬正敏 椎名桔平

マンガを原作に、蜷川幸雄の娘で写真家の蜷川実花が、江戸時代の遊郭を舞台に土屋アンナ扮する遊女の葛藤と成長を描く豪華絢爛な時代劇。

そのルックス、行動や発言によってカリスマというか他にない存在となっているモデルの土屋アンナだけど、役者としての存在感もただものではなく、「下妻物語」のヤンキー娘にはビックリするとともにググっとひきこまれたし、ちょっとしかでていないけれど、「茶の味」でも主人公を虜にする静かだけど、キラッと光るヒロインもなかなかよかった。

その土屋アンナが豪華絢爛な遊女役で主役をはるっていうんで、これだけでも見もので、予告編も他の遊女を蹴り倒すシーンなんかもあり、かなり期待は高まったんだけど…

さすがに蜷川監督の映像はビジュアルはかなり凄く、土屋アンナをはじめとする女優陣も映えていたんだけど、ちょっと内容というかストーリーが単調で、微妙な印象でした。土屋アンナ扮する主人公も威勢がよくでいいキャラなんだけど、なんかグズグズ泣き言が多いというか、後半はちょっと飽きてくるというか…

ちょっとジャンルは違うけど、時代物で、時代考証も無視したビジュアルと音楽で迫るという点では「マリー・アントワネット」のほうが数段上と感じました。

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日本映画

監督:黒沢清

出演:役所広司 葉月里緒菜 小西真奈美 伊原剛志 オダギリジョー 加瀬亮

ホラー(系)の監督として、娯楽性と芸術性を絶妙なバランスで表現できる日本でも稀有な存在である黒沢清監督の待望の新作。

これまたメチャメチャ期待の高かった前作「LOFT」が若干消化不良気味だっただけに、今回はちょっと期待度を下げて見に行ったけれど、これがシンプルでかなりよかった。

お話は、役所広司演じる刑事が湾岸のある殺人事件を捜査していくうちに、その被害者と思われる女性の幽霊につきまとわれ、しかも自分がその容疑者ではないかとの疑問を抱えながら、連鎖する事件と幽霊の謎をつきとめていく…といったお話。

幽霊ものという意味では「LOFT」と同じだけど、今回のほうが洗練されているというか、幽霊としてしっかり怖いながらも、主張もちゃんとあり、ビジュアル的にも面白く、現代の怪談話として、単純に怖くて面白い。とにかく、目ん玉見開きっぱなしの葉月里緒菜がメチャメチャ怖い!

役所広司のシリアス演技は相変わらず黒沢清映画のカラーにピッタリはまり、映画全体を自然にグイグイ引っ張っている。今回は特にシンプルな内容なので、特に主役の人の力量にかかっている訳で、やっぱりさすがと思わせられる役者さんでした。

オダギリ、加瀬といった傑作「アカルイミライ」のメンバーも出ていて、黒沢清ファンにはオイシイ映画にもなっている。

ただ、次は是非幽霊ものじゃない人間ドラマがみたいかなと…

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2007年3月 3日 (土)

ボビー

米映画

監督:エミリオ・エステベス

出演:アンソニー・ホプキンス フレディ・ロドリゲス ウィリアム・H・メイシー シャロン・ストーン デミ・ムーア マーチン・シーン ヘレン・ハント ローレンス・フィッシュバーン イライジャ・ウッド

ジョン・F・ケネディの弟のロバート・ケネデイ上院議員(通称「ボビー」)は、1968年6月5日、大統領予備選の最中、ロサンゼルスのホテルで暗殺される。

その同じ日にそのホテル「アンバサダーホテル」に居合わせた20数人の人達の一日を、名優アンソニー・ホプキンスを初めとして新旧の豪華俳優陣で描いた映画。「有頂天ホテル」をシリアスで政治的にしたような映画。

監督はあの俳優のエミリオ・エステベスで、かつての青春映画や「張り込み」みたいな軽~い感じの演技からは想像できないぐらい、政治的なメッセージと濃厚な内容だったのでビックリした。演出もオーバーな表現は極力抑え、ブライアン・デ・パルマ並の長回しを使ったりして、ボビーの昔の映像と上手く合わせながら、たくさん出ている俳優達をそれぞれの出番は少ないながらも、いい味を出している。おまけに脚本も書いているっていうんでさらにビツクリ。

アンソニー・ホプキンス、エミリオのお父さんマーチン・シーンはもちろんだけど、シャロン・ストーンが老けた姿を隠そうともせず、かなりいい味を出している。「氷の微笑2」の超若作りの記憶が新しいだけに、かなり新鮮だった。同じく久々のデミ・ムーアとの競演シーンは必見。

あと、ローレンス・フィッシュバーン、ヘレン・ハント、ウィリアム・H・メイシーなんかもいい味出しているし、イライジャ・ウッド、リンジー・ローハンといった若手も意外にいい味出している。特にウエイトレス役のメアリー・エリザベス・ウィンステッドっていう女優はこれから要注意。アシュトン・カッチャーとかのドラッグのシーンは微妙だけど…

映画の冒頭とラストにボビーの演説が挿入され、ベトナム戦争からの撤退を掲げて大統領戦に挑み、アメリカの希望とされてきた彼の人物像がとても素晴らしく、感動を呼ぶとともに当時の状況と今イラク戦争に悩まされているアメリカの状況が重なり合い、色々考えさせられる。…だけど、ボビーも選挙の演説用に作ったコメントなんで、正しい内容ばかりであることは当然で、それで映画全部を締めくくっちゃうってのはちょっと微妙な印象だっでした(当然、彼が生きていれば…とは考えさせられるけど)。

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