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2007年5月26日 (土)

主人公は僕だった

米映画

監督:マーク・フォスター

出演:ウィル・フェレル エマ・トンプソン ダスティン・ホフマン マギー・ギレンホール クイーン・ラティファ

超シリアスな人間ドラマ「チョコレート」、ファンタジックな感動作「ネバーランド」、不条理なサスペンス「ステイ」といったどちらかといったら硬派な印象のあったマーク・フォスター監督が、いまかなり乗っているコメディ俳優ウィル・フェレル主演のコメディ映画を撮ったっていうだけで、必見なんだけど、これがただのコメディ映画じゃないというか、ほとんどコメディ映画じゃなかった。

ウィル・フェレル演じる国税局の職員ハロルドはある日突然、自分の行動、考えを文章で同時に表現する女性の声に付きまとわれることになる。そしてその声はハロルドが近々死ぬ運命にあることを告げる。その運命を変えるべく、声の謎を暴き、運命を変えようとハロルドは奔走する。

一方、一人の女性作家(エマ・トンプソン)はひとりの男が主人公の小説を書いていた。彼女は主人公を必ずと言っていいほどラストで殺してしまう作家として有名で、今回も主人公を殺す方法が思い浮かばず、スランプに陥っていた。

その小説の主人公がハロルドであり、同じ現実世界に暮らしながらも、作家の書く小説の通りハロルドは行動し、死への運命を着実に歩んでいくことになる…しかし生きたいと願うハロルドだけど…みたいなお話。

訳の分からないまま、死を宣告されるクソまじめな国税局員ハロルドを演じるウィル・フェレルの演技がメチャメチャいい。「オースティン・パワーズ」の悪の一員ムスタファとか、「ズーランダー」の悪徳デザイナーとかエキセントリックで濃い役で強烈な印象とコメディセンスを発揮していた彼も今回はそのクセを極力殺しつつも、随所にジワジワ染み出る可笑しさで哀しくも見たらおもわず笑ってしまう主人公をいい味で演じている。生きようともがく彼の姿は可笑しいんだけど、それが余計に哀しみも誘い、そのバランスが絶品。

ウィル・フェレルの作る雰囲気でコメデイとして成立しているものの、マーク・フォスターの演出はかなりシリアス寄りで、そのシリアス部分を引き立たせるのがアカデミー女優エマ・トンプソンの演技で、なりふりかまわない天才肌の作家をかなりリアルに演じ、作品をキリッと引き締めつつ、リアルでググッと引き込ませてくれる。

そして名優ダスティン・ホフマンがハロルドの相談相手となる文学の教授を飄々とそしてかっこよく演じ、最近ではかなり印象深い役を演じている。(すっかり助演が多くなっちゃったけど…)

そしてハロルドが恋に落ちるパン屋の女性役のマギー・ギレンホールもこれまでの中でもかなり好印象な女性を爽やかに演じている。

雰囲気は前作「ステイ」に似てなくもないんだけど、不条理なコメディという形をとりながら、生きることや日常のなにげないことに喜びが感じられる、なかなか素直に感動できるいい映画でした。

ウィル・フェレルの日本での知名度とか考えると、あんまりヒットはしないと思うけど、期待せずに見に行くとけっこう得した気分になれる映画だと思います。(この邦題はちょっと微妙だと思うけど…)

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2007年5月25日 (金)

パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド

米映画

監督:ゴア・ヴァービンスキー

出演:ジョニー・デップ オーランド・ブルーム キーラ・ナイトレイ ジェフリー・ラッシュ チョウ・ユンファ

二枚目だけどマニアック、カルトな映画でこそ魅力を発揮してきたジョニー・デップが最もイメージが合わないディズニーの超大作に主演し、奇跡的にもその魅力をはじけさせ大ヒットに至った「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの第3弾にして完結編。

前作でエリザベスに裏切られ、タコの化け物に飲み込まれたジャック・スパロウを助けるべく、復活したバルボッサとともに旅に出るウィルやエリザベスたち…

前作「デッドマンズ・チェスト」がこれまた3部作の2作目としてはかなりの出来で、完結編に向けてメチャメチャ盛り上げる終わり方を見せ、チラチラ飛び込んでくるチョウ・ユンファやローリング・ストーンズのキース・リチャーズ出演のニュースなんかを見せられ、期待感は相当盛り上がっていたんだけど…

多分見る人によってとらえ方はだいぶ違うと思うけれど、正直な感想を言えば、なんか無理やり終わらせたというか、いろいろと「なんで?」みたいな展開が多くて、なるべくしてたどり着いた完結編という気はしなかった。

それでも、ジョニー・デップのジャック・スパロウをスクリーンで見ていられるだけで楽しいし、デップの表現力の多彩さに引き込まれるし(今回はジャックがたくさん見られるし)、アカデミー賞俳優ジェフリー・ラッシュ扮するバルボッサも不真面目なジャックに代わって物語をアクの強さで引っ張っていくし、他の海賊役の役者も見慣れてきて見てて楽しめるようになったし等で、シーンシーンでは楽しむことが出来る。

で、ストーンズのキース・リチャーズもメチャメチャいい雰囲気でいい役演じてるし…

それに反して、オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイに関しては、今回の展開のせいもあるけれど、はっきしいって微妙…

野山を駆け巡り、タコの化け物に襲われたり、ジャッキー映画ばりのアクションも出て、驚くほどバラエティーに富んでいた「デッドマン~」に比べて、ほとんどが船上、海上での戦い(それも乱戦)ばかりで、全体の展開も単調さは否めない。

と、なんか否定的なことばっかり言ってしまっているけれど、面白いか面白くないかといえば、やっぱり単純に面白い。映像やアクションも凄いし、なんといってもジャック・スパロウ役のジョニー・デップを見ていられるだけでかなり贅沢なことだと思うし。

過大な期待感がなくなった今、もう一度みたら、多分もっと楽しめるじゃないかなと思います。素直にみたらもしかしたらものすごい傑作かもしれないし…

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2007年5月19日 (土)

スパイダーマン3

米映画

監督:サム・ライミ

出演:トビー・マグワイア キルスティン・ダンスト ジェームズ・フランコ トーマス・ヘイデン・チャーチ ブライス・ダラス・ハワード

面白い!想像をはるかに超えて面白かった!

「1」も「2」もかなり面白かったけど、ヒーロー物としてかなりシンプルな作りで言ってみれば単調な内容だったけど、今回は複数のキャラや悪者が絡み、ふつうなら3つぐらい映画が作れそうなストーリーが上手く重なりあっていて、300億円使ったっていう、お金の使い方も上手く、個性派のサム・ライミ監督がここ何年もスパイダーマンに集中してきただけあって、練りに練られていて、涙と笑いもある娯楽作品としては相当贅沢な映画でした。

CGを使ったハデな映像がバンバン出てくる陰で、ピーターをはじめとした気さくなキャラたちが身近なことに悩み成長していく、他の安っぽいヒーロー物にはないドラマもあるとこがいいです。

「2」でハリーやMJに正体をバラしたスパイダーマン=ピーターは、MJとラブラブな関係を保ちながら、ハリーからの誤解に悩んでいた。そしてとうとうグリーン・ゴブリンとなったハリーと対決することになる。

そうこうしているうちに、ピーターのおじさんを殺した真犯人マルコが脱獄し、変な研究所に迷い込み、体が砂のように細かくバラバラになる「サンドマン」になってしまう。このサンドマンの存在を知り、復讐心に燃えつつも「1」で殺した相手が犯人じゃなかったと知り、ピーターは罪の意識に苛まれる。そんな中、宇宙からの謎の寄生生物にとりつかれ、邪悪なパワーが増した「ブラックスパイダーマン」に変わってしまう。

そして、ブラックスパイダーマン、サンドマン、グリーンゴブリンが入り乱れたクライマックスに雪崩れ込んでいくっていう濃い~内容。

トビー・マグワイア、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコといった主要メンバーもこなれてきてなかなかよかったけれど、サンドマン役のトーマス・ヘイデン・チャーチがメチャメチャよかった。「サイドウェイ」のだらしないプレイボーイ役とは雰囲気も全然違うけど、病気の娘のために犯罪に走る悩める悪者でいい味出している。

そして「ヴィレッジ」「レディ・イン・ザ・ウォーター」といったシャマラン作品やラーズ・フォン・トリアーの「マンダレイ」みたいな超個性的な作品で主役を張っていたブライス・ダラス・ハワードがチャラチャラしたお嬢さんキャラで出ているのにはビックリしたのとともに凄い得した気分でした。(普通の女性役って初めて見たし)

あと、ピーターのおばさんや編集長みたいな脇キャラも個性がしっかり出ていてるのがこのシリーズのいいところで、「1」で死んじゃったウィレム・デフォーとかピーターのおじさんとかが回想シーンとかでキチンと同じ役者が出てきて、3部作がキッチリつながって見える丁寧さもいい。

メチャメチャお金のかかったド派手な「3」だけど、テーマとして根底に流れているのは「許し」であり、いまのアメリカの状況を憂いた一本筋の通った映画でもありました。

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