主人公は僕だった
米映画
監督:マーク・フォスター
出演:ウィル・フェレル エマ・トンプソン ダスティン・ホフマン マギー・ギレンホール クイーン・ラティファ
超シリアスな人間ドラマ「チョコレート」、ファンタジックな感動作「ネバーランド」、不条理なサスペンス「ステイ」といったどちらかといったら硬派な印象のあったマーク・フォスター監督が、いまかなり乗っているコメディ俳優ウィル・フェレル主演のコメディ映画を撮ったっていうだけで、必見なんだけど、これがただのコメディ映画じゃないというか、ほとんどコメディ映画じゃなかった。
ウィル・フェレル演じる国税局の職員ハロルドはある日突然、自分の行動、考えを文章で同時に表現する女性の声に付きまとわれることになる。そしてその声はハロルドが近々死ぬ運命にあることを告げる。その運命を変えるべく、声の謎を暴き、運命を変えようとハロルドは奔走する。
一方、一人の女性作家(エマ・トンプソン)はひとりの男が主人公の小説を書いていた。彼女は主人公を必ずと言っていいほどラストで殺してしまう作家として有名で、今回も主人公を殺す方法が思い浮かばず、スランプに陥っていた。
その小説の主人公がハロルドであり、同じ現実世界に暮らしながらも、作家の書く小説の通りハロルドは行動し、死への運命を着実に歩んでいくことになる…しかし生きたいと願うハロルドだけど…みたいなお話。
訳の分からないまま、死を宣告されるクソまじめな国税局員ハロルドを演じるウィル・フェレルの演技がメチャメチャいい。「オースティン・パワーズ」の悪の一員ムスタファとか、「ズーランダー」の悪徳デザイナーとかエキセントリックで濃い役で強烈な印象とコメディセンスを発揮していた彼も今回はそのクセを極力殺しつつも、随所にジワジワ染み出る可笑しさで哀しくも見たらおもわず笑ってしまう主人公をいい味で演じている。生きようともがく彼の姿は可笑しいんだけど、それが余計に哀しみも誘い、そのバランスが絶品。
ウィル・フェレルの作る雰囲気でコメデイとして成立しているものの、マーク・フォスターの演出はかなりシリアス寄りで、そのシリアス部分を引き立たせるのがアカデミー女優エマ・トンプソンの演技で、なりふりかまわない天才肌の作家をかなりリアルに演じ、作品をキリッと引き締めつつ、リアルでググッと引き込ませてくれる。
そして名優ダスティン・ホフマンがハロルドの相談相手となる文学の教授を飄々とそしてかっこよく演じ、最近ではかなり印象深い役を演じている。(すっかり助演が多くなっちゃったけど…)
そしてハロルドが恋に落ちるパン屋の女性役のマギー・ギレンホールもこれまでの中でもかなり好印象な女性を爽やかに演じている。
雰囲気は前作「ステイ」に似てなくもないんだけど、不条理なコメディという形をとりながら、生きることや日常のなにげないことに喜びが感じられる、なかなか素直に感動できるいい映画でした。
ウィル・フェレルの日本での知名度とか考えると、あんまりヒットはしないと思うけど、期待せずに見に行くとけっこう得した気分になれる映画だと思います。(この邦題はちょっと微妙だと思うけど…)
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